
朝起きたとき、ふと立ち上がった瞬間に「ふわっ」と世界が回る。
仕事中に頭を動かすと、軽い浮遊感がする。
そんなめまいの症状が続くと、不安になりますよね。
病院で検査を受けても「異常なし」と言われ、原因がわからないまま過ごしている方も少なくありません。
実は、めまいの原因は「耳」だけではないのです。
首や肩の筋肉がこり固まり、血流や自律神経のバランスが乱れることでめまいが起こることがあります。
このようなタイプのめまいには、鍼治療が有効なケースがあります。
鍼は体の深いところにある筋肉のこりをゆるめ、自律神経の働きを整えることで体を根本から改善へと導きます。
この記事では、
「耳に異常がないのにめまいが続く」
「薬では良くならなかった」
「首こり・肩こりがひどい」
という方に向けて、鍼治療でめまいを改善するための考え方と実際の治療内容をわかりやすく紹介します。
目次
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めまいの原因は「耳」だけではない?

めまいの代表的なタイプ
まず、めまいにはいくつかのタイプがあります。
代表的なのは次のようなものです。
- 良性発作性頭位めまい症:頭を動かしたときに、ぐるぐる回るようなめまいが起こるタイプ
- メニエール病:耳の中のリンパ液の流れが悪くなり、耳鳴りや難聴を伴うめまい
- 起立性低血圧:立ち上がったときに血圧が下がり、ふらつくようなめまい
これらはいずれも耳や血圧などの異常が関係するめまいです。
しかし実際には、病院で検査をしても「異常なし」と言われるケースが多くあります。
病院で「異常なし」と言われるめまいの正体
検査では異常が見つからないのに、ふらつきや浮遊感が続く。
こうした場合、多くは「首・肩の筋肉のこり」が関係しています。
デスクワークやスマホ操作で長時間うつむく姿勢を続けていると、首や肩の筋肉が固くなります。
すると、頭へ向かう血流が悪くなり、脳が軽い酸欠状態になります。
これが「ふわふわする」「頭が重い」といっためまいの原因になるのです。
首や肩の筋肉の緊張によってめまいが起こる仕組み
首の後ろには、脳や耳の平衡感覚を支える重要な血管や神経が通っています。
筋肉がこり固まるとそれらが圧迫され、
- 脳への血流不足
- 自律神経の乱れ
- 姿勢のバランスの崩れ
などが起こります。
その結果、体が「まっすぐ立っているのに、ふらついているように感じる」という状態になるのです。
自律神経の乱れが関与するケース
さらに、ストレスや疲労、ホルモンバランスの変化もめまいに関係します。
自律神経は体温や血流、内臓の働きなどをコントロールしているため、乱れると血流や耳の平衡機能にも影響が出やすくなります。
特に40〜50代の女性では、
- 更年期によるホルモン変化
- ストレスや睡眠不足
- 慢性的な肩こりや眼精疲労
などが重なり、めまいが長引くことが多いです。
このようなケースでは、「耳の問題」だけを治そうとしても改善しにくいのが特徴です。
首や肩のこり、自律神経のバランスを同時に整えることが大切になります。
なぜ鍼治療が「めまい」に効果的なのか?

「首や肩のこりが原因かもしれない」と言われても、どうして鍼をするとめまいが軽くなるの?と疑問に思う方も多いでしょう。
ここでは、鍼治療がめまいに効果を発揮する3つの理由を解説します。
血流を改善して、頭が“スッキリ”する
鍼を打つと、筋肉の深い部分まで刺激が届きます。
この刺激によってこり固まった筋肉がゆるみ、血液の流れが良くなります。
特に、首や肩まわりの血流が改善すると脳への酸素や栄養がスムーズに届くようになり、「頭が重い」「ふらつく」といった感覚が軽くなる方が多く見られます。
冷え性や肩こりを一緒に改善できるのも、鍼治療の大きなメリットです。
自律神経のバランスを整える
めまいには「ストレス」や「緊張」も深く関係しています。
ストレスが続くと、自律神経のうち“交感神経”ばかりが優位になり、体がずっと「緊張モード」から抜け出せなくなります。
鍼をすると副交感神経(リラックスの神経)が働きやすくなり、体と心のスイッチが自然に切り替わるようになります。
深部の筋肉に直接アプローチできる
一般的なマッサージやストレッチでは届かない、首の奥深くにある筋肉(斜角筋や後頭下筋群など)
北京堂式の深刺し鍼は、この“深部のこり”にピンポイントで届くのが特徴です。
深部のこりを緩めることで筋肉による血管や神経の圧迫が取れ、めまいの根本改善につながります。
首・肩の緊張をゆるめることで耳や脳への血流が改善し、結果的にめまいの症状が軽くなる方が多いのです。
北京堂鍼灸練馬で行う「めまい」治療
めまいと一口にいっても、原因は人それぞれです。
そのため、北京堂鍼灸練馬では「症状を聞くだけ」ではなく、体のどこに原因があるのかを丁寧に見極めていきます。
初診時の問診と原因の見極め
まずは、めまいの起こるタイミングや持続時間、頭痛・肩こり・耳鳴りなどの有無を詳しく伺います。
また、姿勢のクセや仕事・睡眠・ストレスの状況なども確認します。
これにより「首や肩の筋緊張が関係しているタイプ」なのか「自律神経の乱れによるタイプ」なのかを見分けていきます。
MRIなどで異常がなかった方でも、筋肉や血流、自律神経の不調が原因でめまいを起こしていることは少なくありません。
鍼を打つ部位と目的
主に鍼を打つのは、
- 首(後頭下筋群、斜角筋など)
- 肩や肩甲骨まわり
- 背中(特に肩甲骨の内側)
などです。
これらは「頭に行く血流」や「神経の通り道」と深く関係しています。
深部の硬くなった筋肉にしっかり鍼を入れることで圧迫を受けていた血管や神経がゆるみ、脳への血流が改善してめまいの軽減につながります。
治療中の“ひびき”について
治療中に「ズーン」とした感覚(ひびき)を感じることがあります。
これは、鍼が硬くなった筋肉にしっかり届いた証拠です。
人によっては少し痛みを感じることもありますが、悪いところに当たっている反応なので心配はいりません。
治療を重ねて筋肉の硬さが取れてくると、ひびきも徐々に弱くなっていきます。
もし刺激が強くつらい場合は、本数を調整しますので安心してご相談ください。
治療後に感じる変化
治療直後は「体がだるい」「眠くなる」ことがありますが、これは血流が良くなり、体が回復モードに入っているサインです。
2〜3日後から「首が軽くなった」「頭がすっきりした」「フラつきの回数が減った」と感じる方が多く見られます。
数回の治療を重ねることで、めまいを起こしにくい体に変わっていきます。
どのくらいの治療回数で改善が期待できる?

「鍼を受けたら、すぐにめまいは治りますか?」
初めて来院される方から、よくいただく質問です。
めまいの多くは長い時間をかけて首や肩の筋肉が硬くなり、血流や神経の働きが悪くなった結果として起こります。
そのため、1回の治療で劇的に改善するというよりも、数回かけて体を整えていくケースがほとんどです。
以下の目安を参考にしてください。
軽度のめまい:3〜5回で変化を感じる
肩こりや寝不足など、一時的な筋緊張が原因のめまいであれば、早い方では3回ほどで「頭が軽い」「フラつきが減った」と感じることもあります。
この段階では、首・肩の筋肉の柔軟性を取り戻すことを中心に行います。
慢性的なめまい:8〜10回ほどで変化を実感
何年も続いているめまいや、自律神経の乱れを伴うタイプは筋肉がかなり硬くなっており、体の回復にも時間がかかります。
週1回〜10日に1回のペースで治療を続けることで少しずつ血流が安定し、「めまいの起きにくい体」に変わっていきます。
安定期:再発を防ぐためのメンテナンス
症状が落ち着いてきたら、治療間隔を徐々に空けていきます。
仕事や生活の中で首や肩に負担がかかる方は、1〜2か月に1回程度のメンテナンスがおすすめです。
「なんとなく体が重い」「最近また疲れやすい」
そんなときに治療を受けておくことで、再発を防げます。
症状の強い場合は時間がかかることも
首のヘルニアや骨の変形、内耳の異常など、筋肉以外の要因で神経が強く圧迫されている場合は鍼治療だけで完治することが難しいケースもあります。
そうした場合は、医療機関と併用しながら治療を進めていきます。
鍼治療と一緒に行いたいセルフケア

鍼治療で首や肩の筋肉をゆるめても、日常生活でまた同じように負担をかけてしまうと再び筋肉が硬くなり、めまいが戻ってしまうことがあります。
治療効果をより長く保つためにも、日常でのセルフケアがとても大切です。
ここでは、めまいでお悩みの方におすすめしたいケア方法を紹介します。
首・肩・背中をやさしく動かすストレッチ
長時間のデスクワークやスマホ操作で同じ姿勢が続くと、首まわりの血流が悪くなります。
30分に1回は首や肩をゆっくり回したり、背中を伸ばしたりしてみましょう。
無理に力を入れず、「気持ちいい」と感じる範囲で行うのがポイントです。
おすすめの部位
- 首(左右・前後に軽く動かす)
- 肩(ゆっくり大きく回す)
- 背中(両手を上に伸ばして深呼吸)
軽いストレッチでも、続けることで鍼治療の効果が長持ちします。
目の疲れをこまめにリセット
パソコンやスマホを長時間見ることで首や後頭部の筋肉が固まり、めまいを悪化させることがあります。
1時間に5分ほど画面から目を離し、遠くを見るようにしましょう。
温かいタオルで目や首の後ろを温めるのも効果的です。
体を冷やさない
冷えは筋肉を緊張させ、血流を悪くします。
冷房の効いた職場では首や肩をスカーフで守り、夜は湯船につかって体をしっかり温めましょう。
睡眠の質を整える
睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、めまいを悪化させる原因になります。
寝る直前までスマホを見たり、遅い時間にカフェインを摂るのは控えましょう。
姿勢を意識する
- 画面を見るときに頭が前に出ていないか
- 座っているとき背中が丸まっていないか
- バッグをいつも片方の肩にかけていないか
こうした小さなクセが首や肩に負担をかけ、筋肉の緊張を強めます。
「少し意識するだけ」で姿勢は変わり、めまいの再発も防げます。
鍼治療を受ける際の注意点・リスク

鍼治療は体に負担をかけずに自然な回復を促す安全性の高い治療法ですが、体の状態によっては一時的な反応や注意すべき点もあります。
安心して治療を受けていただくために、知っておきたいリスクや注意点をまとめました。
鍼治療後のだるさや一時的なふらつきについて
治療後に「少し体がだるい」「眠くなる」「ふらっとする」などの反応が出ることがあります。
これは固まっていた筋肉がゆるみ、血流が戻り始めたサインです。
多くの場合は半日〜1日で自然に落ち着きます。
治療当日はできるだけ無理をせず、ゆっくり休むようにしましょう。
症状が強い場合は、鍼治療だけで完治しないケースも
ヘルニア、内耳や骨の異常、脳梗塞など、神経や器官そのものに強い障害がある場合、鍼治療だけで完全に治すことは難しい場合があります。
特に以下のようなケースでは、医療機関との併用が必要です。
- ヘルニアが進行しており椎間板の突出が大きく、神経を圧迫している場合
- 片側の手足が動かない、ろれつが回らない、激しい頭痛を伴う場合 など
これらは筋肉以外の要因で神経や血管が圧迫されている状態であり、病院での治療が優先されます。
鍼治療は筋肉の緊張を取り、血管や神経の通り道を整える「サポート」として非常に有効ですが、すべての原因を鍼だけで取り除けるわけではありません。
Q&A:よくある質問
安心して治療を受けるために
鍼治療は体質や症状に合わせて行うオーダーメイドの施術です。
治療中の痛みや体の変化をしっかり共有していただくことで、より安全で効果的な施術が可能になります。
気になることがあれば、どんな小さなことでも遠慮なくご相談ください。
まとめ

めまいは耳だけでなく首や肩の筋肉のこり、血流の悪化、自律神経の乱れなど体全体のバランスが崩れることで起こることが多い症状です。
そのため、薬で一時的におさまっても根本的な改善には至らないことがあります。
鍼治療は体の深部にある筋肉のこりに直接アプローチし、血流を促して神経の通りを整えることでめまいの根本原因を少しずつ解消していく治療法です。
また、自律神経の働きを整える効果もあり、再発を防ぎやすいという特徴があります。
軽いめまいなら数回の治療で変化を感じる方も多く、慢性的なめまいでも継続的に治療を受けることで安定していくケースが多くみられます。
同時に姿勢の改善やストレッチ、睡眠の質を見直すことも大切です。














