腰痛の原因は病気かも?原因別の見極め方を解説 | 北京堂鍼灸練馬

腰痛は多くの人が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。 

単なる筋肉疲労や姿勢の悪さによるものもあれば、重大な病気が関係していることもあります。

本記事では、一般的な腰痛と病気が原因の腰痛の違いを解説し、見極めるポイントを紹介します。

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一般的な腰痛と病気が原因の腰痛の違い

一般的な腰痛は普段の姿勢の悪さや運動不足、長時間同じ姿勢を続けることなどが原因で起こることが多いです。

 一方で病気が原因の腰痛は内臓や神経、骨などに異常がある場合に発生します。

痛みの原因が筋肉にある場合は鍼治療で改善が期待できますが、内臓や骨に異常がある場合は鍼治療の適応外となります。

以下のような特徴がある場合は病気が原因の可能性があるため注意が必要です。

病気が原因の腰痛の特徴

  • 安静にしていても痛みが続く

  • 夜間や明け方に痛みが強くなる

  • 足に強いしびれや筋力低下がある

  • 発熱や体重減少がある

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腰痛の原因となる主な病気と特徴

筋肉に異常がある場合

筋・筋膜性腰痛

腰痛を感じる時、1番多いタイプが筋・筋膜性腰痛です。

筋・筋膜性腰痛とは、腰の筋肉や筋膜に負担がかかることで起こる腰痛です。

スポーツや重い物を持つ動作、長時間の同じ姿勢などが原因になります。

急に起こるタイプ(急性腰痛)は「ぎっくり腰」が代表的で、強い痛みを伴います。

一方、長時間の負担で起こるタイプ(慢性腰痛)は、腰の筋肉が疲れて硬くなり、痛みが続くことが特徴です。

数日~数週間で回復することが多いですが、生活習慣を見直さないと再発しやすいので注意が必要です。

主な症状
腰痛、体を動かすと痛い、腰が動かしにくいなど
足のしびれや筋力低下、骨の変形はない

骨に異常がある場合

腰椎椎間板ヘルニア

背骨は小さな骨がいくつもつながってできており、腰の部分を「腰椎」といいます。

腰椎の間には「椎間板」というクッションがあり、衝撃を吸収する役割を持っています。

しかし、加齢や過度の負荷などによって椎間板の弾力がなくなるとヒビが入り、中のゼリー状の部分が飛び出すことがあります。

これが神経を圧迫すると腰の痛みやしびれを引き起こします。

20~40代の男性に多く、中腰姿勢を長く続けたり、重いものを持ち上げたりしたときなどに発症しやすいです。

主な症状
腰痛、足の痛み・しびれなど
坐骨神経痛を伴いやすい

脊柱管狭窄症

背骨には神経が通るトンネル(脊柱管)があります。

脊柱管狭窄症とはこのトンネルが狭くなり、中の神経が圧迫された状態のことです。

加齢により骨や靭帯が厚くなったり、椎間板が飛び出すことで発症します。

主な症状
腰から下の痛み・しびれ、間欠性跛行(歩くと痛みが強くなり、休むと楽になる)など

腰椎すべり症

何らかの原因によって腰椎が前後にずれてしまうことで、神経が圧迫されて腰や足に痛み・しびれが出る病気です。

主な症状
腰痛、おしり~足の痛み・しびれ、間欠性跛行など

腰椎分離症・分離すべり症

スポーツなどで腰を反らしたりねじったりする動作を繰り返すことで腰の骨(腰椎)にヒビが入り、疲労骨折を起こした状態です。
特に成長期のスポーツ選手に多く見られます。
悪化すると「分離すべり症」になり、強い痛みやしびれを引き起こします。

主な症状
腰痛、下半身の痛み・しびれなど
体を後ろに反らすと痛みが強くなる

変形性脊椎症

加齢によって背骨のクッション(椎間板)が薄くなり、弾力を失うと背骨同士の結合が弱くなります。

それを補うために骨の端にトゲのような「骨棘(こつきょく)」ができます。

この状態を変形性脊椎症といいます。

重いものを運ぶ仕事やスポーツをする人は背骨に負担がかかりやすく、発症しやすいとされています。

喫煙や肥満も関係するといわれており、腰に多く発症します。

主な症状
腰痛、可動域制限、足の痛み・しびれなど
軽度であれは無症状

側弯症

背骨は本来、横から見るとS字型にカーブし体のバランスを支えています。

しかしこの形が崩れることがあり、左右に曲がってしまった状態を「脊柱側弯症」といいます。

背骨自体にねじれを伴うこともあります。

原因には、生まれつきの骨の異常や神経・筋肉の問題、ケガや病気などがありますが、多くの場合はっきりした原因は不明です。

主な症状
腰痛、背中の痛みなど

圧迫骨折

脊椎圧迫骨折とは、背骨が押しつぶされるように折れる骨折です。

骨粗しょう症が原因の一つで、尻もちをついただけでも骨折することがあります。

特に閉経後の女性に多いです。

骨折すると腰や背中が痛み日常生活が不自由になりますが、治療がうまくいけば数ヶ月で回復し、痛みも和らぎます。

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神経に異常がある場合

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰から足につながる「坐骨神経」がなんらかの原因で圧迫されたり刺激を受けたりすることで起こる痛みやしびれのことです。

主な原因は腰の病気で、「腰部脊柱管狭窄症」や「腰椎椎間板ヘルニア」がよく見られます。

また、加齢によりおしりの筋肉が弱ることが原因のこともあります。

主な症状
腰痛、お尻から足にかけての痛み・しびれなど
長時間の立位・座位が辛く、前かがみが比較的楽

内臓に異常がある場合

尿路結石

尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱にたまり、尿道から排出されます。

この尿の通り道(尿路)に結石ができる病気が尿路結石症です。

泌尿器科でよく見られる病気の一つで、特に中年の男性や閉経後の女性に多くみられます。

主な症状
激しい腰・背中や脇腹の痛み、血尿、排尿時の痛み、頻尿、吐き気など

腎盂腎炎

腎盂腎炎は、細菌が腎臓に感染して炎症を起こす病気です。

尿道から入った細菌が膀胱を通って腎臓まで達することで発症します。

女性に多く、放置すると重症化することもあるため早めの治療が大切です。

主な症状
腰や背中の痛み、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、高熱、倦怠感など

婦人科疾患

子宮や卵巣の病気が原因で腰痛が起こることがあります。

子宮筋腫や子宮内膜症、子宮がんなどが多いです。

安静にしていても腰痛が改善しない場合はこちらも疑いましょう。

主な症状
腰や下腹部の痛み、生理痛の悪化、不正出血、頻尿など

前立腺炎

前立腺炎は、男性の膀胱の下にある前立腺に炎症が起こる病気です。

細菌感染などが原因となります。

急性と慢性のタイプがあり、症状の強さもさまざまです。

主な症状
高熱、排尿時の痛み、頻尿、会陰部や下腹部・腰の痛みや不快感など

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜に傷ができる病気です。

ストレスや刺激の強い食べ物、薬の副作用、ピロリ菌感染などが原因になります。

症状が悪化すると、痛みが背中や腰まで広がることもあります。

主な症状
みぞおちの痛み、空腹時や夜間の痛み、胃もたれ、吐き気

胆石症

胆のうにできる石によって引き起こされる病気の総称です。

症状が現れない場合もありますが、胆のうの中で石が動いたり、炎症が起きると激しい腹痛などの症状が現れることがあります。

さらに悪化すると、発熱や黄疸がみられることもあります。

主な症状
食後のみぞおち~右上腹部の激痛、背中や腰の痛み、吐き気

膵炎(すいえん)

膵臓が炎症を起こす病気です。

アルコールの多量摂取や胆石が主な原因とされ、膵臓の消化酵素が膵臓自体を傷つけることで発症します。

急性と慢性があり、重症化すると命に関わることもあります。

主な症状
みぞおちや背中・腰の激痛、吐き気、発熱

その他

帯状疱疹

水ぼうそうのウイルスが体内に潜伏し、免疫が低下したときに再活性化して発症する病気です。

神経に沿って炎症を起こし、皮膚に発疹が現れます。

加齢やストレスが発症のきっかけになることがあります。

痛みが強いのが特徴で、発疹が治った後も痛みが続くことがあります。

主な症状
ピリピリする痛み、帯状の赤い発疹
症状は体の左右どちらかに現れる

解離性腹部大動脈瘤

腹部の大動脈の壁が裂ける病気で、命に関わることがあります。

動脈硬化や高血圧などさまざまな原因が関係していると言われています。

進行すると大出血を起こし、緊急手術が必要になることがあります。

主な症状
突然の胸や背中の激痛、お腹や腰・足に痛みが移動する、意識障害

がんの転移

腰痛の原因ががんだった、という可能性は少ないですが、がんと腰痛は無関係ではありません。

がんが進行し、背骨に転移すると腰痛や背中の痛みの原因となります。

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鍼治療が効く腰痛、効かない腰痛

鍼治療が適応になる病気

筋・筋膜性腰痛(慢性腰痛、ぎっくり腰を含む)

鍼治療は筋・筋膜性腰痛の痛みを和らげるのに有効です。

痛みが出る場所や体勢によって硬くなっている筋肉が違うため、症状に合わせた施術を行います。

急性・慢性どちらの場合にも効果が期待できますが、再発予防には腰痛の原因となった動作や姿勢の改善など、日常生活を見直す必要があります。

<関連記事> 腰痛の8割は腸腰筋が原因!腸腰筋をゆるめる方法 <関連記事> 腰痛・ギックリ腰の治療に必須!大腰筋刺鍼とは?

場合によって鍼治療が適応になる病気

椎間板ヘルニア

鍼治療で筋肉をゆるめることで神経の圧迫を軽減し、痛みやしびれの緩和に役立ちます。

しかし、神経の圧迫が重度になっている場合(筋力低下や排尿障害がみられるなど)には、一時的な効果しか期待できません。

脊柱管狭窄症

神経を圧迫している原因が椎間板の場合、ヘルニアと同様に効果が期待できます。

しかし、神経を圧迫している原因が靭帯や骨の場合には鍼治療の適応外となります。

症状が重い場合や、歩行が困難になるほど進行している場合も適応外となります。

腰椎すべり症

軽度のうちであれば、鍼治療で痛みやしびれの緩和に役立ちます。

しかし、症状が進行し神経の圧迫が強い場合には適応外となります。

腰椎分離症・分離すべり症

まずは骨折を治すのが第一優先となります。

骨折が治った後、負担がかかっていたまわりの筋肉を鍼治療でゆるめることで、残っていた痛みやしびれの緩和が期待できます。

ただし、症状が進行して分離すべり症になってしまった場合や、脊柱管狭窄症を伴ってしまった場合は完治が難しくなります。

変形性脊椎症

軽症であれば鍼治療によって筋肉に柔軟性をもたせ、椎間板への血流を良くすることで骨の変形や骨棘の発生を予防することができます。

しかし、骨棘ができてしまったり重症化すると鍼治療のみでの完治が難しくなります。

側湾症

鍼治療では、側弯症そのものを治すことはできません。

しかし、側弯症によって生じる筋肉の緊張、腰や背中の痛みの緩和には効果が期待できます。

坐骨神経痛

坐骨神経を圧迫している原因が筋肉の場合、鍼治療で効果が期待できます。

坐骨神経を圧迫する主な筋肉は大腰筋と梨状筋なので、これらの筋肉をゆるめることで痛みやしびれが緩和します。

ただし、重症化している場合や、坐骨神経を圧迫している原因が骨や炎症の場合には鍼治療の適応外となります。

鍼治療が適応とならない病気

以下のような病気が原因で腰痛が引き起こされている場合、鍼治療はあまり効果がないため医療機関での治療が優先されます。


  • 骨折

  • 感染症による腰痛

  • 内臓の病気が原因の腰痛

  • がんや骨、血管の病変が関係する腰痛

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まとめ

腰痛はよくある症状ですが、場合によっては重大な病気が原因となっていることもあります。 

単なる腰の筋肉のこり・疲れであれば鍼治療やストレッチが効果的です。

しかし、痛みが強い場合や腰痛以外にも気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。

 適切な診断と治療を受けることで、安心して腰痛を改善できます。


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この記事を書いた人

深部の筋肉へアプローチする鍼灸師

北京堂鍼灸 練馬
【院長】佐々木

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